アジアの金融センターシンガポール

17日からの週は、リスク回避の動きが大きく広がった。欧州財政緊縮策がユーロ圏の景気回復の足を引っ張るとの観測が広がったことが背景。世界的に株式市場が崩れ、ダウ平均や日経平均はそれぞれ1万ドル、1万円の大台割れとなる場面があった。欧州株はもちろん大幅下落、アジア株へも波及した。商品市況では原油が一時64ドル台へと急落したほか、安全資産の金までもが現金化を急ぐ動きとなった。為替市場では円買い・ドル買いが強まった。特に資源国通貨安の進行が目立った。豪ドル円は約10円の大幅下落となる場面もあった。ドル円は89円割れまで下落した。一方、ユーロ売りは急速に反転した。ユーロドルは1.21台から1.26台まで上伸。スイス中銀やECBなどによるユーロ買い観測が流れたが各当局はノーコメントを貫いた。また、ファンド勢がこれまでのユーロ売りポジションを巻き返す動きに転じたとの観測もあった。経済指標への反応は鈍く、リスクマネーの大きなうねりに翻弄される一週間だった。

アジアの金融センター「シンガポール」

シンガポールにおける投資運用業者規制

 

去る4月27日に、当地シンガポールにおける投資運用会社(Fund ManagementCompany(略称FMC))に対する新たな業者規制のアウトライン(*1)が監督官庁であるMAS(**2)によりアナウンスされました。

http://www.mas.gov.sg/news_room/press_releases/2010/MAS_Invites_Comments_on_Proposed_Enhancements_to_the_Regulatory_Regime_for_Fund_Management_Companies_and_Exempt_FI.html

 

(*1)今般発表されたのは、「Consultation Paper」と呼ばれるもので、当該MAS案に対してのPublic Commentsを5月末までの期限を設けて募り、それを受けた後に今後法制化の手続きが進められる事になります。

http://www.mas.gov.sg/resource/publications/consult_papers/2010/Policy_Consultation_on_Review_of_the_Regulatory_Regime_for_Fund_Management_Companies_and_Exempt_Financial_Intermediaries_edit.pdf

(**2)MASとは、Monetary Authority Of Singaporeの略称で、日本で言うところの金融庁と日銀=中央銀行の双方の機能を有します)

http://www.mas.gov.sg/

 

従来、シンガポールにおける投資運用業者(等)規制の枠組みは、

 

「シンガポールで投資運用業(等)を行うものはCMS(Capital Markets Services)ライセンスをMASより取得しなさい。但し、「一定の要件」を満たす場合、CMSライセンス取得義務は免除(Exempt)され、「Exempt Fund Manager(EFM)」としての通知をMASに行う事で足る。」というものでした。

 

この「一定の要件」の定義ですが、種々変遷あったものの現在は、投資運用サービスを提供する対象投資家(ファンド経由の場合、含最終投資家)の数(少数性、30以下)とタイプ(Qualified Investors)とを問うもので、少数(30以下)の、所謂機関投資家あるいは富裕者に限定した投資家を対象とした投資運用サービス提供の場合は、EFM」に該当します。

注:集団投資スキーム(所謂ファンド)を対象に運用している場合、そのファンドの投資

家が全てQualified Investorsに該当する場合は、投資家の数に関係無くそのファンドを

1とカウントされます。

本日現在、MASにEFMとして通知されている投資運用業者数はその会社規模の大小問わず499社にも登ります。(http://www.mas.gov.sg/fi_directory/index.html )、

所謂ヘッジファンドと呼ばれるものをシンガポールに拠点を構え運用している会社の大半がこのカテゴリーに属しています。

 

まさに、従業員一人の会社から、何百人規模の大きな運用会社までがEFMという1つのカテゴリー内にあったのですが、今回の規制案はこの従来の「EFM」カテゴリー運用会社をその会社運用規模、即ち契約運用資産金額(AUM)がS$250 百万(円換算約175億円)超か否かの違いを元に、従来のような「通知」で済むステータスのもの(AUM S$250M以下)と「ライセンス」取得を義務付けるステータスのもの(AUM S$250M超)とに区分するものとなっており、

(1)「Notified FMCs」

(2)「Licensed A/I FMCs」 

  (A/Iは accredited and/or institutional investorsの略)

の二つのカテゴリーに分類されます。

 

(1)は、従来のEFMと似たようなもので、顧客タイプはQualified Investorsのみ且、数の上限は30のままですが、30の内、集団投資スキーム(Collective InvestmentScheme)である所謂ファンドの総数は15までという制限が新たに追加されます。

(2)は、顧客タイプはQualified Investorsのみですが、数の制限はなくなります。

 

尚、従来の(顧客の数・タイプに制限が無い)CMSライセンスホルダーは、

(3)「Licensed Retail FMCs」というカテゴリーに変わります。

 

一般的にシンガポールの行政当局は、自由な経済活動の阻害要因となるような規制は課さないのですが、さすがに昨今の国際的な金融ビジネス規制強化機運のある中、かなりの熟考と調整の上で今回の規制案を出してきた模様です。08年12月のバーナード・マドフ事件発覚後、09年春に初めての全EFM一斉立ち入り検査を実行したMASは、昨年秋にも新規制案を出すものと見られていたのですが、漸く半年遅れで今回案が出てきたところにもそのあたりが伺えます。

 

さて、今回導入予定の規制レジームを夫々のカテゴリー毎に大雑把に要約しますと以下の通りとなります。

 

http://ameblo.jp/aoki1981/image-10531012302-10535221952.html

 

「Competency」という専門性を問う切り口、「Business Conduct」という基本的な業務遂行の仕組みのあり方を問う切り口、更に「Capital」という最低Net Wort維持で会社の安定性を問う切り口の、主に3つの切り口に焦点をあてたAdmission Criteriaとなっています。

 

(スケジュール)

パブリックコメントが5月31日で締め切られ、法制化(施行)までに約一年要するものと見積もられています。更に法施行後6ヶ月間の移行猶予期間が設定される事になっており、都合18ヵ月後が最終変更締め切りになる模様です。